#拝啓 高村幸太郎さま
暦の上では秋なのにまだまだ暑いね。
日中は猛暑日が続いているけれど、夜風が涼しくなって、秋の虫の音が、わたしたち耳をたのしませてくれているね (^^)
すこしずつ感じ始めた秋に、高村幸太郎さまへのお手紙をしたためてみた、、、
拝啓 高村幸太郎 様
「東京に空が無い」と、智恵子さんがおっしゃったとか。
智恵子さんに、「東京にも、こんなに広くて大きなステキな空があるよ」と、お伝えください。
もし、それでも、智恵子さんが「東京に空が無い」とおっしゃったら、それは、わたしの写真撮影の技術がないからだと、お伝えください (笑)。
上京して15年。
ずっと引越ししないのは、この広くて大きな空が好きだから。
15年前、田舎から上京して、満員電車と人の多さに、半年ぐらい、毎日疲弊していたんだ。
でも、この広くて大きな空を見ると、いろいろなことが「まっ、いいか」と思えたな。
15年経っても、飽きることのない、広くて大きくて大好きな空。
● 高村幸太郎 ●
(1883.3.13-1956.4.2)
詩人・彫刻家
『あどけない話』
智恵子は東京に空が無いといふ。
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切っても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山の山の上に
毎日出ている青い空が
智恵子のほんとうの空だといふ。
あどけない空の話である。